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セリーグではジャイアンツがCSファイナルシリーズを制し、日本シリーズ出場を決めたが、パリーグはイーグルスが優位な状態であるものの、まだ決着はついていない。
プロ野球はパリーグCSファイナルの結果が出て、ドラフトそして日本シリーズと盛り上がりを続け最後の決着をみるところまで続いていく。
そしてすべての日程が終わって、決まるのが表彰選手。
個人タイトルは公式戦が終わっているためすでに決まっている。
ただ新人王、MVPに関しては記者投票となっているため、当日まではわからない。
このふたつのタイトル、パリーグはイーグルスの田中、則本で決まりと思っていいだろう。
しかしセリーグは混沌としている。
どちらの賞も、有力候補が優勝チームと最下位チームにいるのがその理由だ。
まず新人王の候補は、最多勝、最高勝率の二冠を獲ったスワローズ小川。
この対抗となっているのが、優勝したジャイアンツのチーム最多勝である菅野。
通常なら個人タイトルを獲得した小川ですんなりいきそうだが、チームが最下位であることに異論を唱える声がある。
菅野が小川を上回るのは、奪三振ぐらいであとはすべて小川が上だが、チーム順位が問題とされている。
「優勝争いの中での勝ち星は最下位に勝る」
というのがその理由だという。
ただこれはこじつけでしかない。
現在はCSという制度が引かれている。
消化試合を減らすことで採用されたクライマックスシリーズ。
CSが採用される前のAクラスとは違い、3位に入れば、日本シリーズ進出の可能性が残る。
これによりたしかにシーズン終盤、興味が長続きするようになった。
今季スワローズはCS争いからも脱落したが、相手にしていたチームはまさにそこを争っていた。
モチベーションが十分なチームを相手に勝ち星を挙げたのだから、価値が低いとはいえないだろう。
もし勝ち星が並んでいたなら、上位チームというのはわかるが、小川16勝に対して菅野13勝。
この差3勝を埋めるほどの理由にはならないと考える。

もうひとつのMVPも優勝チームのジャイアンツからの選出か、シーズン60本塁打を放ったスワローズバレンティンというところでどちらになるかわからない。
そもそもこのMVPという表彰が始まったときは、“最高殊勲選手”という名称だった。
“殊勲”という名前がある以上、優勝チームから選ばれることに異論はない。
勝利にどれだけ貢献したかとなれば、当然今季ならばジャイアンツの選手となる。
しかし現在のMVPは“最優秀選手”となっている。
そうであれば、これまで聖域とまで言われていた“55本”を抜き、日本プロ野球前人未踏の60本まで記録を伸ばしたバレンティンでもいいということになる。

こちらの投票は新人王とは違い、1位(5点)2位(3点)3位(1点)と順位付けをしてのものとなる。
“もっとも勝利に貢献した選手”ととらえるならジャイアンツから、その名の通り“もっとも優秀な成績を残した選手”となれば、最下位とはいえ日本新記録のバレンティン。
しかしおそらく投票は“殊勲”と“優秀”が混合され、ジャイアンツの野手ならば阿部、村田、投手であれば西村、山口辺り、そして3名連記の中にバレンティンがどれだけ入って来るかで受賞者は変わってくるのだろう。
個人的には、“最優秀選手”という名称通り、日本記録を破ったバレンティンでいいと思っている。
ただ新人王と違い、一年間戦った選手が対象になる場合、表立った数字に表れない貢献度がある。
それだけにこちらの方はジャイアンツの選手が選ばれても、不思議ではないし違和感もない。

球生観語という名称で昨年から書いてきたコラムも今回が最終回です。
総数50本、これまで読んでいただいてありがとうございました。
紘野涼


紘野涼=文