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全チームが残り60試合前後。
セリーグは2強、パリーグはすべての球団にまだ優勝の可能性が残るほどの混戦。
CS争いも含めて、夏本番これからペナントレースは佳境を迎える。
しかしそんな時期だが、早くも来季へ向けて、ストーブが引火した。
まだCS圏内を狙える位置にはいるが、借金を背負うドラゴンズ、スワローズのセリーグ2チームだ。
両チームの球団トップが監督辞任を明言したわけではない。
ドラゴンズに関しては「辞めるとも続けるとも書いていない」と契約書の内容に触れ、スワローズは「まだ可能性がある。9月まで見極めたい」と報道された。
しかし外部招聘となれば、もう動かなければならない時期であり、内部昇格であってもサラリーマン社会ではないだけに本人の了承を必要とし、環境を整える必要がある。
チームの状況と「留任」という言葉のないニュアンスで報道が先行するのは、例年と変わりはない。
優勝争いとともに、そこからこぼれたチームの人事というのはそれほどニュースソースとして魅力的ということだ。

実際に誰が指名されるかわからないが、ドラゴンズは多くの名前が挙がっている。
OBで人気の高い立浪氏、ベイスターズで監督経験のある牛島氏、今日の報道ではメジャーの監督経験もあるケン・モッカ氏そして現役の谷繁捕手の名前も出てきた。
内部昇格となれば井上打撃コーチも当然候補となるのだろう。
しかし落合監督辞任のときの理由とされた、観客動員の伸び悩みをさらに現場の問題とするなら、話題性が欲しい。
そうなるとOBの立浪氏、モッカ氏そして現役引退即監督もしくは古田元スワローズ監督以来のプレイングマネージャー谷繁捕手というのが、球団の求める話題としては魅力的だ。

ただドラゴンズの抱えていた高齢化という問題を解消出来ないままの監督就任はかなり厳しいものがある。
おそらくチームの若返りを求め、大物OBである高木監督の招聘となったと思われる。
強引に若手と切り替えチームを一新させるには、ある程度の負けは覚悟しなければならない。
監督とすれば“泥をかぶる”ことになる。
GM的思考と編成権を持たずにこれをやれば、中途半端になってしまう。
いる選手で戦うのが現場の監督であり、意図を伝えていなければ勝とうとするのは当然のこと。
観客動員も含めて、監督だけに責任を負わすのは問題を先送りにしているだけで、次期監督もそれをかぶらされることになる。
そんな厳しい状況の中、球団創設60周年の監督となるのは誰なのだろうか。

スワローズに関しては路線の狂いが生じている。
もともとは高田監督辞任が生んだものだ。
高田監督がチームを整備し、荒木監督へというのが路線だった。
古田以降弱かった捕手に相川をFAで獲得。
相川を繋ぎとして、中村をドラフト指名し後釜候補を埋めている。
最も大きかったのは、宮本をサードにコンバートしたことだろう。
生え抜きのOB監督であれば、ショートにこだわりを持つ宮本の守備位置を動かすのは難しかった。
着々とチームの改革は進んだが、高田監督がシーズン途中辞任小川代行の躍進、監督就任と路線がやや替わった。
それでも小川監督の下、荒木コーチは“ポスト小川”の一番手であり続けた。
そして今季は池山打撃コーチが一軍に配置転換となり、チーフコーチの肩書きが外れた荒木投手コーチの対抗として準備された。

しかし今季投手陣が崩壊、打撃陣も中堅で中心の畠山、田中浩の不振と荒木、池山が担当する部門が故障者続出とともにチーム低迷の原因となっているのが現状。
誰が見ても後任の流れだった二人に、すんなり引き継がれない状況が生まれてしまった。

ドラゴンズのように高木監督短期政権そこから次へと想定されていた流れのほうがまだ後任は選びやすかった。
スワローズは路線が完全に乱れた格好。
小川監督留任もなくはないが、荒木、池山コーチのふたりに責任を負わせての契約続行は考えにくい。
ただ辞任となった場合、候補はドラゴンズのように多くはない。
在野のOBとなれば、古田元監督の復帰という話題性の高い人材がいる。
今季公式戦のイベントに登場するなど雪解けの印象がついたものの、 “引退勧告”を発端にもつれた辞任劇は根が深い。
またOBではあるものの、退団の経緯を考えれば、環境面などで条件を強く出してくることが予想される。
資金面で渋いイメージのあるスワローズが、招聘に動くかどうかはやや疑問が残る。
そうなった場合は内部昇格。
現役に宮本という幹部候補はいるが、いきなり就任というのは本人が納得しそうにない。
小川監督と同じ路線という意味では、真中二軍監督も有力な候補の一人となって来るだろう。
しかし道筋が狂ってしまった分、小川監督留任も含めすんなりと決まりそうにはない。


紘野涼=文