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タイガースの鳥谷が、順調にいけば今週中にも連続試合出場の3位松井秀喜に並ぶ。
試合に出続けるだけでも価値はあるが、鳥谷の場合“ショート”という負担の大きいポジションでのものだけに、記録に重さがある。
歴代1位の衣笠祥雄氏は内野手だが、主にサード、ファーストを守った選手。2位金本知憲氏、まもなく並ぶ松井秀喜氏はともに外野手。
10位以内に松井稼頭央(現イーグルス)が同じショートとして1180試合という記録を残しているが、他の選手たちは内野ならファースト、サードそして外野手ばかり。
それをみれば、未だ続けている鳥谷の記録がいかに凄い数字かわかるというものだ。
野球はセンターラインといわれる。
セリーグ上位2強を見ればその通りのチームが並んでいる。
とくにタイガースは、センターに大和が定着、移籍3年目で投手の特徴をつかんだ藤井がマスクをかぶり、セカンドの西岡も攻守に渡り貢献度が高い。
そこに生え抜きで主力でもある鳥谷が加わっている。
このセンターラインの充実が、今季のタイガースのこれまでの躍進に繋がっているといってもいいだろう。

鳥谷の打撃成績は、打率、打点、本塁打といった3部門で目立ったところがない。
しかし盗塁はチームトップタイの10、出塁率はマートンに次ぐ数字とそれなりの活躍は見せている。
さらにチームへの貢献度が高いのは守備だ。
刺殺、補殺は坂本に劣るものの、エラーは3ともっとも少ない。
当然守備率は1位であり、併殺参加は断トツトップの48を記録している。
また鳥谷の守備は、こういった数字に表れるものだけではない。

少し前の話になるが、4月17日のタイガース対スワローズ、甲子園での6回戦。
タイガースのショートは当然鳥谷、スワローズは森岡が守っていた。
この試合にふたりのキャリアと守備力の差が出た場面があった。
まず3回、スワローズの先発は八木。
藤井のカウントは1-2、八木の投球は中村のミット通りにアウトコース低めへストレート。
これを打った藤井の打球は緩く八木の左を抜けていき、森岡も及ばずセンター前へ抜けていった。
次に4回、打席はバレンティンでマウンドは藤浪。
0-1からの藤浪の投球はアウトコースやや甘めで、バレンティンの打球は藤井のものとは違って強烈に二遊間を襲ったかに思われた。
しかし鳥谷が飛び込み、打球が速かったため1塁は悠々アウトだった。

藤浪のストレートは言うまでもないが、八木も球速は劣るものの左腕から力のある球を投げる投手。
そして打者を考えれば、三遊間に飛ぶ可能性が高いのはバレンティンの方だろう。
しかしこのケースでは、打球が強く同じコースに飛んだにも関わらず、鳥谷は間に合った。
記録上は藤井の打球はヒットであり、バレンティンのものはいくらいいものであってもショートゴロだ。

こういったプレーは、ただ守備力が高いだけではなく、試合に出続けていなければできない。
捕手のサイン、構え、打者の特徴、スイング軌道を判断して、一瞬早くスタートを切る。
こういったプレーの積み重ねが、チームの失点を減らしていくことに繋がる。

ここまでタイガースのチーム防御率はリーグ2位だが、失点と自責の差は15ともっとも少ない。
つまりエラーが失点に繋がったケースがもっとも少ないチーム。
その守備陣の中心にいるのは、タイガースのレギュラーとしてもっとも長いキャリアを持つ鳥谷だろう。
打てなくても、守りや足に価値がある。
そういう選手だからこそ、連続試合出場がショートというポジションで続いているのだろう。


紘野涼=文


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