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もう隠しきれなかった。
6/11仙台で行われたNPBと選手会による討議で、前年までの統一球と今季のボールは違うことが明らかにされた。
開幕から「明らかに違う」という現場やファンの声に対し、「変わっていない」「打者が対応できるようになったから」と言い続けたNPB。
「反発係数が下回っていた」という理由も嘘の後ではなんの説得力も持たなかった。

すべてのスポーツメディアが一斉に記事としたこの統一球問題。
これまでもメディアはこの問題を取り上げてきた。
しかし反発係数を量ってみようというところはどこにもなかった。
“飛ばないボール”といわれた昨年までの球がどこにも存在しないということはなかったはずだ。
11年以前に納入していた業者に頼めば、反発係数を量ることはできただろう。
ただやらなかった。
選手や現場の声を集約して書くことはあったが、それはあくまでもそれぞれの印象であり、追及はできても真実とはならない。
NPBの“嘘”を明らかにすることはできなかった。

11年からNPBはこれまで各球団でバラバラだった製造元を一本化。
ミズノ社のボールを統一球として採用した。
スポーツメディアにとって、“ミズノ”は大スポンサーである。
この問題を追及していけば、“ミズノ”にぶつかってしまう。
「変わっている」という確信があったとしても、反発係数を量ってしまい、もし事実として“飛ぶ”ことが立証されてしまえば、それは嘘をついたことを証明することとイコールとなる。
正論であっても、広告で成り立っているメディアにとって、スポンサーを叩くほど危険なことはない。
マスコミであると同時に企業である以上、どちらが優先されるかは言うまでない。

しかし6/11に発表されたことが事実であれば、ミズノ社も被害者となる。
たしかに問題を混乱させたことに絡んではいるが、ミズノ社にとってもNPB使用球の独占は大きな利益を生む。
つまりミズノ社にとっては、NPBが大スポンサーとなる。
そこから「黙っていてほしい」と要請されれば、発表を控えるのは当たり前であり、「作り変えてほしい」と発注元から言われればそうするのがメーカーだ。
関係者ではあっても、当事者ではないのだからミズノ社が自ら言い出す理由はない。
ただもう「変わっていない」と言い続けることは厳しくなっていたのは事実。
企業イメージからすれば、このまま巻き込まれていくことは決してプラスにはならない。
選手会との折衝で明るみになった問題だが、ミズノ社からの発表の要請があったとしても不思議なことではないだろう。
そう考えれば、なぜこんな中途半端な時期での発表となったのかもわかる気がする。

ではなぜシーズン前に発表できなかったのか、それを公にする説明責任はコミッショナーにあるはずだ。
特定球団の圧力があったという噂もあった。
現場レベルでもそれを匂わすような発言も見られた。
しかし特定球団だけが、他のボールを使っていたわけではないし、もし絡んでいなければ名誉棄損という話になる。
12球団が同じボールを使用していた以上、有利不利はやってみなければわからない。
球場の大きさが違う方がよほど戦い方に関わる問題だろうし、ボールを変えることにこだわる現場がいるというのは考えにくい。

WBC対策ということで生まれたこの“統一球”。
しかし準決勝敗退によりその効果はなく、導入にどんな意味があったのかも今となってはわからない。
統一球に自分の名前を刻印している以上、コミッショナーにはその責任があるはず。
「混乱しないように」とした問題が、これだけ大きな波紋を呼んだ。
現場で対応しようとしていた選手を含めた現場を騙し、本塁打が多いと喜ぶとの勝手な判断でファンを欺いた。こうなってしまった以上、この問題の真実を知り、その説明ができるのはNPBしかなく、その最高責任者であるコミッショナーが自分の言葉で語るしかない。
辞めるのは幕引きをした後だ。


紘野涼=文


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